きものを「着たい人」を「着る人」に。まるやま・京彩グループ

着方レッスンコラム着方レッスンコラム

着物にアイロンって大丈夫?プロが教えるシワ伸ばしのコツと注意点

2025.05.14

こんにちは!「着たい人を、着る人に」まるやま・京彩グループです。


「着物にアイロンをかけてもいいの?」と、不安に感じたことはありませんか?

確かに、着物は繊細な衣類。間違った方法でお手入れすると、縮みやテカリ、変色といったトラブルの原因になってしまいます。


けれど、素材ごとの性質と、正しいアイロンの知識を身につければ、自宅でも安心して着物のケアができるようになります。きれいな着姿を保つためにも、日頃からの丁寧なお手入れが大切です。


このコラムでは、着物の素材別に適したアイロンのかけ方、よくある失敗とその対策、さらにアイロンを使わないシワ取りの方法まで、実践的なポイントをわかりやすく解説します。


1.着物の種類と素材別のアイロンのかけ方


着物には、素材ごとに異なる特徴があり、アイロンの可否や方法も一律ではありません。ここでは、代表的な4種類の素材について、それぞれに適したアイロンがけのポイントと注意点をご紹介します。

大切な着物を傷めないためにも、まずは素材ごとの特性を正しく理解しましょう。


正絹(しょうけん)の着物にアイロンはNG?

正絹は非常にデリケートで熱に弱い素材です。アイロンを直接かけると、生地がテカったり、縮んだり、変色したりする恐れがあるため、基本的にアイロンがけは避けましょう。

どうしてもシワが気になる場合は、霧吹きで軽く湿らせたあと、風通しの良い場所に吊るして陰干しするのが安全です。それでも不安な場合や大切な着物の場合は、着物専門のクリーニング店に相談することをおすすめします。


ポリエステルの着物へのアイロンのかけ方

ポリエステル素材の着物はアイロンがけが可能ですが、熱に弱い特徴があります。必ず低温(110〜130℃)に設定し、あて布を使用してかけましょう。

高温でのアイロンや、スチームの使用は生地が溶けたりテカリが出たりする原因になるため避けてください。アイロンをかける前には、洗濯表示の確認も忘れずに行いましょう。


木綿の着物へのアイロンのかけ方

木綿の着物は比較的扱いやすい素材で、中温(140〜160℃)でのアイロンがけが可能です。あて布を使うことでテカリや変色を防ぐことができるため、できるだけ使用するようにしましょう。

高温で長時間アイロンを当てるのは避け、部分的にシワが気になる場合は霧吹きで軽く湿らせてからアイロンをかけるときれいに仕上がります。


ウール素材の着物へのアイロンのかけ方

ウールの着物は縮みやすいため、慎重なアイロンがけが必要です。低温(110〜130℃)に設定し、厚手のあて布を使って、滑らせるのではなく軽く押し当てるようにアイロンをかけましょう。

スチームを併用することでシワを伸ばしやすくなりますが、蒸気を当てすぎないよう注意が必要です。ウールの風合いを損なわないよう、優しく仕上げることがポイントです。


2.アイロンがけの基本手順と道具の使い方

アイロンをかける前には、必要な道具を準備し、手順を正しく理解することが大切です。道具選びや温度設定を間違えると、せっかくのお手入れが逆効果になることも。

ここでは、自宅でできる正しいアイロンがけの流れを解説します。


着物のアイロンがけには、温度調整できるアイロン、綿100%のあて布、安定したアイロン台(なければ厚手のバスタオルでも代用可)などが必要です。

温度設定は素材に応じて行い、不安な場合は必ず低温から始めるのが安心です。あて布はテカリ防止のためにも必須。しっかりシワを伸ばしたい部分に、丁寧にずれないよう当てて使いましょう。


3.アイロンがけで失敗しないための注意点

「テカリが出てしまった」「変な跡が残ってしまった」など、アイロンがけによるトラブルは意外と多いもの。

ここでは、よくある失敗例とその対策方法を紹介します。事前にポイントを押さえておけば、大切な着物を安心してケアできます。


温度設定ミスに注意

高温でアイロンをかけると、生地が焦げたり、テカったりして取り返しがつかないことがあります。特に正絹やウールは低温を厳守し、素材ごとの適正温度を守りましょう。


スチームの扱い方

スチームアイロンは便利ですが、水シミの原因になることも。正絹には使わない、またはあて布越しに控えめに使用するなど、素材に応じた判断が必要です。


跡が残ってしまった場合の対処法

アイロン跡やテカリが残ってしまった場合は、霧吹きで湿らせたあと、乾いた布で軽く叩いて様子を見ましょう。改善しない場合は、無理をせず専門店に相談してください。


4.アイロンを使わないシワ取り方法

アイロンを使わずにシワを取る方法を知っておくと、より安心して着物のお手入れができます。特に正絹などのデリケートな素材には、自然な方法でのケアがおすすめです。

ここでは、自宅でできるやさしいシワ取りの工夫をご紹介します。


ハンガーに吊るす

着物専用ハンガーにかけ、風通しの良い場所に吊るしておくだけでも軽いシワは自然と伸びます。


霧吹き+陰干し

精製水を霧吹きで軽くかけてから吊るすと、繊維がゆるみシワが取れやすくなります。湿気の与えすぎには注意しましょう。


衣類スチーマーの活用

ポリエステルや木綿素材には、スチーマーも有効です。生地から少し距離を取って、軽く蒸気を当てましょう。正絹の場合は基本的に避けるのが無難です。


5.よくある質問

着物のアイロンがけについては、ちょっとした疑問や不安も多いもの。ここでは、初心者の方からよく寄せられる質問をピックアップしてお答えします

自信をもってお手入れできるよう、ぜひ参考にしてください。


Q. 自宅でアイロンをかけても本当に大丈夫?

素材や方法さえ間違えなければ、木綿やポリエステルなどは自宅でも問題ありません。正絹は無理せず、専門のケアに任せましょう。

Q. どのくらいの頻度でかければいい?

シワが気になったときだけでOKです。毎回かける必要はなく、頻繁に行うと逆に生地を傷める可能性があります。

Q. アイロン台がない場合は?

テーブルの上に厚手のバスタオルを敷くことで代用可能です。しっかりと安定させて行いましょう。


6.まとめ

この記事で紹介した内容を参考にすれば、自宅でも安心して着物のケアができるようになります。着物は特別な存在だからこそ、正しい知識で丁寧に扱うことが大切です。


特徴やお手入れ方法を理解し無理のない範囲でケアを続けていけば、着物との暮らしがもっと楽しく、もっと身近なものになるはずです。

大切な一枚を長く美しく保つために、ぜひ日常の中に取り入れてみてください。



まるやま・京彩グループでは、着物好きの皆さんがステキな着物ライフを送れるよう、お役立ち情報を発信していきます。


着物の選び方や着こなしについて、もっと詳しく知りたい方は、ぜひまるやま・京彩グループの着付け教室、無料体験レッスンにお越しください。


経験豊富なスタッフが、あなたにぴったりの着物選びをお手伝いします。