2025.09.22
きもので歌舞伎座まいりましょう!― 歌舞伎座案内①
#きもので歌舞伎 デビュー応援企画
はじめまして。今回、歌舞伎座をご案内するナビゲーターの君野倫子です。銀座の中心に佇む歌舞伎座は、多くの方が「着物で訪れたい!」と憧れを抱く特別な場所。着物で歌舞伎座散策、何回かに分けて、外観から劇場内、歌舞伎座タワーまで一緒に巡りながらご案内いたします!
どうぞ、あなたのお気に入りの場所を見つけてください。
また、実際、歌舞伎に行く時の皆さんの着物コーディネートを集めた #きもので歌舞伎 フォトギャラリーもオープンしました!ぜひ、観劇の際のご参考に。そして、あなたのご参加もお待ちしております!
#きもので歌舞伎 フォトギャラリー
歌舞伎は昼の部、夜の部とあり、どちらも開演30分前に入場でき、終演後は即刻、外に出されてしまいます。館内で過ごす時間は約4時間半ほど。その間に2、3回ほど休憩時間がありますが、お弁当を食べたり、お手洗いに行ったり、甘味を食べたり、お土産を買う時間も忙しく、お友達とゆっくりおしゃべりする時間もないほど。
4時間も!?と驚く方が多いのですが、実は意外に忙しくあっという間に過ぎてしまいます。そんな歌舞伎座での滞在を有意義に過ごしていただきたいので、歌舞伎座チェックポイントをご紹介していきます。
まずは地下にある木挽町広場です。
01. 木挽町広場
東京・銀座の歌舞伎座の地下2階にある「木挽町広場」は、歌舞伎座を訪れる人なら誰でも自由に立ち寄れるショッピングエリアです。歌舞伎の観劇チケットを持っていなくても利用できるので、気軽に銀座観光スポットのひとつとして立ち寄れます。
木挽町広場は提灯や格子などの日本的な装飾が施されていて、ちょっとした小江戸の町並みに迷い込んだような賑わいが楽しい空間です。歌舞伎座の玄関口のような役割もあり、ここを歩くだけでも歌舞伎の雰囲気を楽しめます。
木挽町広場には、歌舞伎にちなんだ品や和の伝統を感じられる商品が多く揃っています。お友達との待ち合わせ、お弁当の購入、劇場内でゆっくりお買い物ができなかった方も、ここでゆっくりお土産選びができます。
そして、歌舞伎のお楽しみのひとつは、なんといってもスウィーツ!
歌舞伎座で食べ物やお土産を買うことができる場所は、誰でもお買い物が楽しめる地下2階「木挽町広場」、劇場内1階のお土産処「木挽町」、3階の「座・のれん街」の3か所です。
お土産用だけでなく、座席で食べられるように一口サイズにしたものもあります。
また、その時々で上演される演目にちなんだスウィーツも登場するので、ぜひチェックしてみてください。
この連載では、毎回、定番スウィーツをご紹介します。
<おすすめ お土産スウィーツ>
いろはきんつば
創業200年。木挽町広場のセブンイレブンの奥に位置する和泉庄のきんつば。
名付け親は、演劇評論家の河竹登志夫氏。名前の由来は、昔の座席番号は「いろは」だったことから名づけられました。刀のつばをイメージして作られて、上品な甘さの長く愛されている歌舞伎座土産です。また、きんつば&わらび餅が乗った、ここでしか食べられない「きんつばソフトクリーム」もお試しあれ!
歌舞伎座限定 歌舞伎揚げ
おなじみ天乃屋の歌舞伎揚げは、歌舞伎座限定のものがあります。
歌舞伎座限定は箱入りで、普通のスーパーで売っている歌舞伎揚げより、1枚がおよそ3倍くらいの大きさ。歌舞伎揚げ好きには、たまりません。誰もが知っていて、ちょっと特別感があって、歌舞伎座でしか買えないので、話のタネにもなっておすすめです。
02. 歌舞伎稲荷神社
歌舞伎座の堂々とした姿に圧倒されて、つい見過ごしがちな隠れたスポット、歌舞伎稲荷神社。地下鉄直結のエスカレーターを上がってすぐ左手、正面玄関の横手にひっそりと鎮座している小さな神社です。赤い鳥居と社殿はこぢんまりとしているけれど、この神社は歌舞伎座にとって特別な場所。
舞台の安全、役者の無事、そして芝居の成功を祈る場として、長く大切にされてきました。歌舞伎の守り神ともいえる場所で、歴代の歌舞伎役者や関係者も参拝してきました。今も公演のたびに、役者や関係者が手を合わせる姿を見ることができます。
観劇の前後や、銀座を散策している途中でも気軽に参拝できます。歌舞伎座を訪れる際には、ぜひこの小さな神社にも足を止めてみてください。絢爛豪華な劇場と並んで佇む素朴な社殿には、華やかな舞台を支えてきた歴史と、人々の変わらぬ願いが息づいているのです。御朱印は地下の木挽町広場「お土産処かおみせ」で手に入ります。

03. 歌舞伎座正面
銀座四丁目交差点から望む歌舞伎座は、2013年に建て替えられた「五代目」。初代から130年以上にわたる歴史と伝統を受け継いできた現在の姿です。正面入口の紫の幕に白く染め抜かれたのは、歌舞伎座の座紋「鳳凰丸」。初代歌舞伎座が開場した1989年から変わらず、歌舞伎座を見守っています。現在は、昼夜約50回、年間300日近く上演する歌舞伎専門劇場として唯一無二の存在です。
また、正面左手に「一幕見席入口」があります。いきなり昼夜公演それぞれ4時間という長丁場はハードルが高いと言う方、複数の演目のうち1幕だけ、まずは雰囲気を味わいたい方には、一幕見席がおすすめです。一幕見席は4階席で、1〜3階には入れませんが、十分楽しめます。指定席と自由席があり、指定席は前日オンラインで、自由席は当日、歌舞伎座正面の一幕見席専用切符売り場のみで購入できます。
https://www.shochiku.co.jp/play/theater/kabukiza/makumi/
歌舞伎座は東京ですが、今年の下半期は、永楽館(兵庫)・博多座(福岡)・南座(京都)・御園座(愛知)、そして全国をまわる巡業などもあります。歌舞伎座に限らず、全国での歌舞伎公演にぜひ、お出かけくださいね。
https://www.kabuki-bito.jp/schedule/
さて、次回は一緒に歌舞伎座の中へ!この中に入ると、そこは非日常。
お楽しみに!
きもので歌舞伎座まいりましょう!― 歌舞伎座案内②
<きもので歌舞伎コーディネート①>
さて、この連載では、私がスタイリングしたコーディネート(秋冬カタログでモデル着用)、また都粋各ショップが提案するコーディネートを順番にご紹介していきます。
菱取花唐草を織りなす小紋は、落ち着いた深みのある紅桔梗色が大人の女性に気品ある華やかさをもたらし、新鮮な印象を与えます。黒地に源氏香文様の名古屋帯は、古典文学の雅な世界観を表現した知的でモダンな1本。劇場の重厚な雰囲気に溶け込む、歌舞伎鑑賞にぴったりな装いです。
その他、お友達とのお食事会や同窓会などでも、品の良い着こなしが周囲の方の目を惹くコーディネートです。
Styling : 君野倫子
コーディネート小物
君野倫子プロフィール
文筆家・日本文化ディレクター。2004年より着物や和をテーマに書籍、新聞、雑誌の執筆を始める。2010年から14年間、読売新聞夕刊で伝統工芸を紹介する連載を続ける。着物、手ぬぐい、歌舞伎、和雑貨などをテーマに日本文化に関する著書は20冊。日英版・日仏版に加え、海外の出版社からも出版された著書もある。2025年には新たに日本とロンドンの出版社からも出版予定。執筆以外にも、商品企画・イベント企画・ディレクションなども手がける。
- 以下、いずれも君野倫子著・市川染五郎(現・十代目松本幸四郎)監修
- 「かわいい歌舞伎の衣裳図鑑」(小学館) https://amzn.to/3DpQqDi
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